地デジ化で失うもの

2011年7月の完全地デジ化で、膨大な数のアナログテレビが破棄され、その経済的損失は計り知れないが、アナログテレビを使い続けても失う大きなものがある。

 

アナログテレビを使い続けるということは、いわゆるデジタルチューナを外付けするか、レコーダーを設置してチューナー代わりに使うことになる。

 

古いアナログテレビの場合、HDMI端子はもちろん、D端子もついていなくて、映像音声入力端子(コンポジット)でチューナーと接続することになる。

 

そして、デジタル放送を見る場合は、チューナーのリモコンで電源を入れ、テレビのリモコンで入力を外部入力に切り替えるという操作が必要になる。

 

簡単な操作ではあるが、年配者や機械に弱い人には、なかなかこれが覚えきれない。

 

また、間違ってアナログテレビのリモコンチャンネルを操作してしまうと、完全移行後であれば画面が砂嵐になってしまう。

 

チューナーのリモコンで電源を切ると、テレビ画面は真っ暗になるが、テレビ電源はテレビリモコンで落とさなければ、一晩中でもテレビは点きっぱなしである。

 

チューナーのリモコンをテレビの電源オン・オフにも使えるようにするためにはマニュアルを見ながら、チューナーの設定を行わなければならない。

 

地デジ化で素直にデジタルテレビを買わなかった人は、テレビが長年かかって築きあげてきた「誰にでも使える」というテレビの大きな長所を失ってしまうのである。